トップカイザーサウンドオーディオクリニックの旅JBL60周年モデル66000&ソナースファベールのアマティー

JBL60周年モデル66000&ソナースファベールのアマティー



 やっと実現したクリニック


 『JBLの66000にジャイアントベースを使ってみたら圧倒的な情報量を持つスピーカーに変身した』。『調整方々近い内に立ち寄って貰えないだろうか』と岩手県の上得意さんであるS.Hさんから電話を頂きました。それをきっかけに東北出張を組むことにしました。

 そのルート上には一度は訪問したいと思っていた方がいらっしゃいます。そのM.Tさんという方には数年前より高級インシュレーターを幾度か買って頂いておりますが、JBL、ゴールドムンド、エソテリック等を中心に機器の入れ替えが激しいので何故か気になる存在でした。

 ”好きな音楽をグッドコンディションで楽しんで欲しい”という思いが強く働き、過去に何度も連絡を取ったことがあるのですが、ことごとくタイミングが合いません。

 今回やっと両者のスケジュールがかみ合い、訪問クリニックが実現しました。「岩手に66000の調整の仕事があるのでそれを機にお伺いしたいんですが」と伝えますと、『実は私もJBLの9800からつい最近66000に入れ替えたばかりなんです』と仰います。

 同じルートのクリニックで二日続けて66000とはちょっとびっくりしましたが、直前になってS.Hさんに急用が出来てしまったので、さすがに二日れんちゃんは無くなりました。それにしてもこんな偶然もあるんですね・・・。

 そのM.Tさんの入力系は全てエソテリックで固めています。JBL66000用のアンプにFMアコースティック、アマティー用にはゴールドムンドと完全に2系統に分離されています。


 ケーブル類もかなりお金が掛かっており、特にスピーカーケーブルは初めて見るMITのOracleという代物。価格が120万もすると聞いて二度ビックリ!。何が入っているのか?、25センチはあろうと思うキューブブロックケースがケーブルの途中にあります。



 ”スピーカーの立ち位置”と”音のプロポーションの関係”


 ご本人の弁ではJBLは結構満足しているのだけど、アマティーの低音が膨らみ過ぎて困っているとのこと。音を聴かせて頂いてすぐに私の耳が反応したのは、JBLのセッティングとアマティーのそのポジショニングが正反対のf特バランスになっている点でした。人間のプロポーションに例えると、痩せた体型と肥満型に置き換えられます。

 世界広しといえども”スピーカーの立ち位置”と”音のプロポーションの関係”を、瞬時に判断出来るのは多分私一人でしょう。

 カイザー流ではそれらの不満点を機器やアクセサリー等の力を借りる事無く、スピーカーの部屋における位置関係を数センチ調整するだけで、理想の体型(音バランス)に変身させてしまいます。


 アマティーの調整


 一度に両方のスピーカーを動かすと、ご本人の頭がこんがらがってしまいますので、今日は敢えてアマティーだけのセッティングに絞り込みます。

 幸いにベース材共々楽にスピーカーが動きましたので、位置の割り出しが簡単に出来ました。前後左右に動かし、あっという間に音のベストプロポーションを作り上げます。「空間の時間軸」と「振動の時間軸」の調整を同時にやってのける技です。

 瞬く間に、ほんの数秒で完了です。

 そして、ゆるゆるだった尾を引くような低音は無くなり、小気味良いリズムを奏でるまでに生まれ変わりました。


 ベース材の寸法比による音の問題点


 しかし、よく分析して聴くと僅かに付帯音が気になります。ベース材として使ってあるその縦横の寸法比が、良くも悪くも音に影響を与えている点に目を付けました。その僅かな体積では瞬間に襲ってくる音楽振動を処理するにはとても無理があります。


 この時点で、”腕で出来る限界”と”製品の持っている能力の違い”による音の差を説明させて頂きました。


 ジャイアントベースの能力は圧倒的


 本日の真打であるGIANT BASEの出番です。

 先ず初めに、ここではウッドベースを思い切って外し、床全体の体積を有効利用して、ナチュラルな振動移動に任せるやり方を推奨しました。

 その際スピーカーと床との間で息の合った振動の仲介役として欠かせないのが、優秀なスパイク受けインシュレーターであります。

 このジャイアントベースの最大の特徴は、瞬間処理能力の高さです。フルオーケストラが一斉にフォルテシモ状態になっても、全ての楽器の音が混濁する事無く見事に聞き分けられる点です。

 大型スピーカーをお持ちの方は騙されたと思って是非使ってみて下さい。何百万円もするアンプに買い換えるよりも遥かに大きな効果に驚かれるはずです。


 大型TVの位置調整


 スピーカーのセンターにある大型TVは音に大きな影響がありますので、背面壁と反射のサイクルを合わせるべきです。

 ディスプレイに布を掛けているのをよく見かけますが、映像を見ないで音だけを聴く時には幾分の効果はありますが、映像を見ながら音を出す時には何の解決にもなりません。

 AVを楽しむ時にも、オーディオを楽しむ時にも音への影響が大きいので、背面壁とディスプレイの反射パターン合わせてやる必要があります。そのコツは簡単です。音を聴きながらディスプレイを数センチほど前後させていると、ピタッと同期が取れたように音が揃うポイントがありますので是非試みて下さい。


 ルームチューニングパネル/QRDの調整


 背面壁の半分の面積はルームチューニングパネルの代表格であるQRDが使われています。QRDは反射音のずれたにじみ等を拡散したり、つぶしたりして、スピーカーが発する直接音を浮き上がらせる効果が有りますので明瞭度アップになります。

 その反面、倍音や美しい響きは殺がれる傾向にありますので、設置する量や場所を決めるには、カットアンドトライでかなりの時間を掛けるべきです。

 今日の場合は量的には適量で、特に中央部については文句ありませんでしたが、両隅に置いてある位置を低音と高音のバランスを耳で聞き分け20センチほど内側に寄せました。


 床に置いてあるアンプの位置調整


 ここまで気流の反射と振動の反射パターンを揃えても、直接音の滲みは微妙に残っています。もっとも大きな影響をもたらしているのが、床にデンと陣取っている重たいパワーアンプ軍です。

 スピーカーと床との折り合いが良くなっても、なおかつその振動のリズミカルなテンポを崩さないように、アンプもスピーカと共に縄跳びをするイメージを持ってタイミングを取ってやります。

 私の見立てでは前に数センチ動かしてやれば同期するはずです。少しずつ動かし最初の読み位置に合わせると、一気にノリが良くなり音楽がスイングするようになりました。


 機器の電源ケーブルの配列調整


 電源供給機から貰うエネルギー量の配分バランスが良くないと、音楽の流れにどことなくギクシャク感があるものです。こういう時は色々と配列を変えてみる事をお勧めします。

 10通り、20通りと試みた数だけ音の違いがあり、耳はその都度研ぎ澄まされてきますので、入れ替えた瞬間に音の良し悪しの判断がつくようになります。


 スピーカーケーブルのSP-RGB3を試聴


 ローゼンクランツの最高級スピーカーケーブル(SP-RGB3)を試聴して頂きました。もちろんスピーカーアタッチメントとペアーでです。長さ2.7kaiserで300,000円です。普通の感覚からするとビックリの額ですが、今使っておられるMITと比べると四分の一と可愛いものと思えるから不思議です。

 MITは高域に独特の魅力を持っていますが、低音の制動力はあまりないようです。その点、RGB3は楽器の音が生々しく実在感に富んでいます。その音をすっかり気に入られたM.Tさんはそのまま導入して下さいました。


 カイザーサウンド流セッティング技術


 かくしてカイザーサウンド流のクリニックとセッティングを体験頂いた訳ですが、その効果の大きさと、思ってもいないようなアプローチであり、独自のオーディオ構築論を高く評価して頂けました。


 JBL66000専用のスパイク&インシュレーターの開発を約束


 次回はJBL66000を中心にセッティングの予定です。その際専用のスパイクを商品化する事をお約束し、出来上がったら一番にお持ちしてその効果のほどを聴いて頂くのが楽しみです。

 開発の為にお借りした66000の丸型スパイクアジャスターですが、そのあまりもの貧弱さには逆の意味で驚いてしまいました。

 ジャイアントベースと比べるとこんなにもちゃちです。振動に対してここまで軽視されているのには寂しささえ憶えますが、反面、ローゼンクランツのインシュレーター技術力を示すまたとない場でもあります。

 俄然ファイトが湧いてきました。66000をお持ちの全国のオーナー様!、素晴らしい足回りを完成させますので楽しみにご期待下さい。


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